こんにちは~、山形県酒田市の確定申告が大好きなひとりの税理士です!
また1週間が始まりましたね~、なかなか曜日感覚が無いのですがかろうじて今日が月曜日なのはわかりました笑
では今回はお茶濁しではなくちゃんとした?税金に関する記事を書きたいと思いますので期待してくださいね
今回のテーマは「お給料」と「退職金」をもらった場合の税金面での違い、について解説していきたいと思います!
お給料と退職金って、どちらも会社からもらうものという点では同じなんですけど、税金の面では計算方法が違う部分が多いので、どこが違って、どこは似ているのかについてを中心に書いていきますね
そもそも計算方法が違う理由
お給料と退職金、税金の計算方法は違うということは最初に書きましたが、そもそもなんで違うのか?と疑問に思いませんか?
どっちも会社からもらったお金なんだからお給料だろうが退職金だろうが税金の計算は一緒でしょ?と思うのが自然な気がしますね
ですが、ちょっと考えてみてください!
お給料というのは基本的には働いていれば毎月もらえるものである一方、退職金というのは同じ会社からは基本的に一回しかもらえないわけです。しかもその退職金というのは多額になることが多く(最近だとそんなに多額にもらえなくなってきてるみたいですが笑)老後の生活資金になる場合が多いですよね?
なので、そんな退職金に普通に税金をかけたら可哀そう!ということで、お給料としてもらうよりも退職金としてもらったものというのは税金の計算面で優遇されている、ということになります
ということで、
ということが分かったと思います
そこまでわかれば後は「どうやって」優遇されているか、を確認すれば完璧ですので見ていきましょう!
お給料の所得税の計算方法
退職金の所得税の計算がどう優遇されているか、を知るためにはそもそもお給料の税金の計算がどうなっているかを知っている必要がありますね?
単にこれはお得なんです!って言ってもそもそも比較するものが無いと意味がないわけです笑
お給料の場合には、税金の計算の元になる金額を「給与所得」、退職金の場合には「退職所得」というのですが(厳密にはちょっと定義が違うのですが今回は割愛)、簡単に言えばこの金額が大きくなればなるほど払う所得税も大きくなる、ということになります
ここで給与所得の金額の求め方を見ていきましょう!式は簡単で
そこから給与所得控除、というものを引くことができるのです
この給与所得控除というのは、よく「サラリーマンの経費」ともいわれるもので、サラリーマンって個人事業主の人と違って、実際の経費(例えば仕事のために買った)をお給料から引くことができないので、だいたいこのくらいの金額は経費として使ってるでしょ!って金額を国が決めて引いてくれる、というありがたいものです笑


この65万円という金額はどこかで聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうかね?
退職金の所得税の計算方法
ということで、お給料の場合の税金の計算の元になる金額「給与所得」の求め方は分かりましたね?
ではここから本題の退職金についてみてきます
まず、計算方法から書いていきますと
先ほどの給与所得と比べると明らかに違う部分がありますよね…それをひとつづつ見ていきましょう!
退職金の金額
こちらに関してはお給料と特に変わりはありません、単純にもらった退職金の金額(総額)をそのまま使います
例えば退職金が1000万円なら1000万円ということですね(言わなくてもわかりますね笑)
退職所得控除
さっきのお給料の場合には、お給料から給与所得控除という架空の経費を引きましたが、退職金についても同じように架空の経費である「退職所得控除」というものを引くことができます
この退職所得控除の金額は何で決まるのか、といいますと勤務していた年数で決まります
年数に月の端数が出る場合には切り上げます(例えば9年3か月勤務なら10年)
あとはその年数を基に下の表に当てはめます
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 年数×40万円(最低80万円) |
20年超 | 800万円+年数×(勤続年数―20年)×70万円 |
最低80万円なので、勤続年数が1年でも80万円を退職所得控除として引くことができる、ということですね!(1年未満で辞めた人に退職金を払う会社があるかどうかはまた別問題ですが笑)
基本的には1年あたり40万円ずつ加算される計算なのですが、勤続年数が20年を超えるような重鎮になってくるとさらにボーナスステージに突入します
20年を超えてからは1年あたり更に30万円プラスされて70万ずつ控除額が増えていくのです
これはなぜかというと、20年を超えるようになってくると益々退職金の金額が大きくなることが想定されるので、その分もっともっと優遇してあげよう!という優しさということですね
なので、勤続年数が20年の場合には控除額は800万円になりますね?
1/2
さらにさらに!!(なんだかジャ〇ネットみたいになっていますが笑)
退職金の税金を計算するうえでは優遇してくれる制度があります!それが式の中にある「1/2」です
つまり、退職金から退職所得控除という架空の経費を引いてくれるだけでなく、その金額の半分でいいよ
という国としてはあり得ないくらいの優しさになっているのです!
なので、例えば退職金が1000万円、勤続年数が20年の場合には
(1000万円-800万円)×1/2=100万円
という計算になるので、退職所得は100万円ということになります
さっきお給料が1000万円の場合には給与所得は805万円でしたから違いは一目瞭然ですよね!
更に退職金が有利なポイントあり
というわけで、給与所得、退職所得とそれぞれの計算方法を見てきました。実は?更に退職所得が有利な点があるのです
それは例えば事業なども一緒にやっている場合に効果を発揮します
例えば次のような人が居たとしましょう
給与所得 | 805万円 |
事業所得 | 1000万円 |
つまりお給料は1000万円(そこから給与所得控除を引いているので給与所得としては805万円)、その他に個人で事業もしていてその儲けつまり所得が1000万円という勝ち組さんですね
この場合税金の計算をする上では、給与所得と事業所得はごっちゃにしないといけないんです
ごっちゃにする、という表現がちょっとわかりにくいですかね笑。簡単に言うと合計するってことです
合計すると何か不都合があるの?と思うかもしれません
所得税の税率っていうのは一定ではなく、たくさん稼げば稼ぐほど税率も高くなるという仕組みになっています(超過累進税率という)
税率表はこちら
この表に当てはめると、給与所得が805万円、事業所得が1000万円の場合には合計が1,805万円になるので下から2番目に当てはまりますので
1805万円×40%-279万6千=4,424,000円
これが所得税の額になります(所得控除については一旦無視)
次に
退職所得 | 805万円 |
事業所得 | 1000万円 |
という人だとしましょう
さっきの例と違うのは給与所得か退職所得か、という違いだけですね金額も同じにしました
ここでさっきとの大きな違いは、退職所得は退職所得で単独で所得税の計算をすることができる、という点なのです!
なので退職所得の税金については先ほどの税額表に当てはまると、下から4番目に該当するので
805万円×23%-636,000=1,215,500円
次に事業所得について税額表に当てはめると下から3番目に該当するので
1000万円×33%-1,536,000=1,764,000円
で、両方の金額を合計すると
1,215,500+1,764,000=2,979,500円ということになり、先ほどのお給料の場合の4,424,000円と比べるとだいぶお安いことがわかると思います
まとめ
というわけで、今回は退職金は税金に関してはこんなに有利なんですよ!というお話をしてきました
まとめますと、退職金は
- 退職所得を計算する段階
- 税率をかける段階
の2段階で優遇されている、ということになります。そのため退職金には所得税がかからないという人も一定数います
退職金ってお給料と違ってそんなに頻繁にもらうものではないので、税金の計算がどうなっているんだろう?なんてあまり考えたことがなかったかもしれませんが、こういう制度になっているんだよと知ってもらえればうれしいです!
それでは今回も最後までありがとうございます!