こんばんは!山形県庄内地方、鶴岡市酒田市の税理士です!
いや~ここの所ありがたいことにそれなりに仕事があるので一日が経過するのがかなり早いです…
税理士の書き入れ時ですので、ここで稼げるだけ稼いで家賃が払えない!なんてことにならないようにしたいと思います笑
では今回は国民年金の2年前納した場合の社会保険料控除がどうなるのかについて見ていきたいと思います!個人事業者の方で前納しようか迷っている人はぜひ確認してみてくださいね♪
国民年金の2年前納とは

センセイ!今回も色々教えて下さいね♪

はぁい!今日は国民年金の「前納」のお話をしますね

「前納」ですか?なんとなく漢字からすると、前もって払う、納めるってことですよね?

そうですそうです!大正解!
自営業者の人だと国民年金というと毎月払わないといけない厄介なもの、という認識ではないでしょうか?額的には健康保険よりは少ないことが多いですが、それでも1人当り毎月16,000円ほど払わないといけないというのはかなりの負担ですよね…
しかもこの額は毎年しれっと少しずつ上っているのです…(この記事を書くために調べて初めて気が付きました笑
2019年4月~2020年3月 | 16,410円 |
2020年4月~2021年3月 | 16,540円 |
2021年4月~2022年3月 | 16,610円 |
2022年4月~2023年3月 | 16,590円 |
「前納」というのは、この憎き国民年金を前もって払えば(最大2年分)、その分ちょっと割引してあげるよ!
っていう制度なんです

それってあれですね!唐揚げ10個買ったら1個おまけ!みたいな
じゃあどれくらい割引になるのか、といいますと
今度の2021年4月から2023年3月までの2年間分を正規の値段で払った場合には
16,610×12+16,590×12=398,400円
ですね?(これくらいの計算は大丈夫ですね??)
でも口座振替で2年間分一気に払うと382,550円でマイナス15,850円
クレジットカードや現金で2年分一気に払うと383,810円でマイナス14,590円
という感じでだいたい1ヶ月分くらいお得になる、ということなんですね♪表にまとめると
毎月コツコツ納付 | 口座振替で2年間分一気に | クレカ・現金で2年間分一気に |
398,400円 | 382,550円 | 383,810円 |
15,850円お得! | 14,590円お得! |

割引率がちょっとシケてるけど、無いよりはある方がいいですね
ただ、もちろんデメリットといいますか注意点もありましてそれは
そのぶんだけ一気に手持ちのお金がなくなる
ということですね
これは他のことにも通じるのですが、例えば車を買う時現金で買えばローンの利息は払わなくて良くなりますけど、その分一気に手持ちのお金がなくなりますよね
なので手持ちの資金に不安があるようでしたら無理に前納はしないという選択肢もありだと思います
あとは別の話として所得税のことを考えると、前納した場合にはちょっと注意が必要ですのでその点について説明したいと思います
国民年金の前納 いつの社会保険料控除になるのか

国民年金の前納がお得だ、ということはわかったと思うのですが国民年金といえばアレがありますよね?

アレ?アレってなんですかあああ

それは所得税の所得控除の一種の「社会保険料控除」になるということですね

あぁ!払った社会保険料を所得から引くことができるってアレですね!

そうです!アレです
社会保険料控除 原則は「払った年」の控除になる
その社会保険料控除ですが、いつの控除になるのかといいますと、原則としては「払った年」の控除になります
なので、通常通りの毎月納付だったら
その年の1月から12月までに払った金額がその年の控除になる
という単純な話しになるのですが、今回のテーマである「前納」した場合はどうなると思いますか?
具体的な期間を出してみましょう!
問題:2021年4月に、2021年4月から2023年3月までの2年分を前納した。この場合2021年の控除になるのはどの期間ぶん?

う~ん、さっきの原則どおりでいくと「払った年」の控除になるんだから2年分丸々2021年の控除になるんじゃないですか?

ファイナルアンサー?

センセイ、意地悪しないですぐに教えて下さいよ(泣)
この場合の正解は実は2つあるんです!
まず一つ目が
払ったぶん全てが払った年の控除になる
という原則的なやり方ですね♪
今回の例でだと、2021年に2021年から2023年までの分を払っているので、その2023年のぶんも2021年の控除になる、ということですね

なるほど~、どちらか好きな方を選べるんですね!

でも、どっちを選ぶかで有利とか不利とかあったりするんですか??

若干不利になってしまうケースもあるので、少し確認してみましょう
ではこれからの説明のために用語を整理しますと
- 全額控除…払った年に全額を社会保険料控除にすること、原則的な方法
- 分割控除…払った年の控除にするのではなく、対応した年の控除にすること、例外的な方法
ですので、頭に入れておいてくださいね♪
全額控除をすると不利になるケース
まずは全額控除をすると不利になるケースですが、こんな事業主さんをイメージしてください
この人の場合税金の計算のもととなる「課税所得」はいくらかと言うと、課税所得は
所得-所得控除
ですので社会保険料控除を考慮する前の時点で課税所得は60万-48万で12万円になるわけですね
ここで仮に全額控除をすると社会保険料控除が約38万円になるので
12万円-38万円<0になってしまいますよね?
課税所得はマイナスにはならないので、それ以上の控除はもったいないということになります
例えるなら、お釣りが出ない10000円の商品券で10円のガムを買うようなもったいなさですね

そう言われるとよく分かる!センセイ例えるの上手ですね
なのでこういう人なら、全額控除をしないで分割控除をしたほうがお得、ということになりますね♪
分割控除をすると不利になるケース
今度は逆に分割控除をすることで不利になるケースを見ていきましょう、こんな人をイメージしてください

初年度はバブリーだったけど2年目以降落ちぶれちゃったんですね・・・

ですね…こんな人が分割控除をしたらどうなるでしょうか?

うーん、2021年は普通に控除できるけど、2022年と2023年はそもそも事業が赤字だから社会保険料控除使えないじゃないですか!

そうなんです!2021年に全額使うのはもったいないとケチっていたら、そもそも使えなくなってしまったというパターンですね

例えると、高級食材だからちょっとずつ使おう!って思っていた食材を放置しすぎてて結局食べられなくなっちゃった!ってパターン

それもわかりやす~い!よくありますよねそういうこと
ただこのパターンだと2021年の段階で2022年、2023年が赤字になるかどうかはわからないので、仕方ないとも言えますね
とにかくどっちを選ぶかによって税金の計算で有利になったり不利になったりすることがある、ということが大事です
最後に
というわけで今回は国民年金の前払制度を使った場合の社会保険料控除について解説していきました
実は今回のネタはある方がTwitterでこの前払制度についてつぶやいていて、それをみてネタにしてみました、ブログのネタをありがとうございます笑
また何かネタになりそうで、簡単にかけそうなつぶやきがあったら記事にしていきたいと思います!